第4回猫シンポジウム@練馬「解決!猫トラブル 不妊去勢手術で増やさない」

とても興味のあったお題目で、しかも無料、参加してきましたよ!

以前別の集会で、その講演に感動したあの高木さん(元新宿区職員で、地域猫の立役者)もおいでになっていました。うれしくなって記念写真を撮りました。

日時:平成31年3月9日(土)13 :30
場所:練馬区民産業プラザ ココネリホール
主催: NPO 法人ねりまこ(理事長、亀山知弘)

<講演>

  1. 「TNR 先行型地域猫活動」どうぶつ基金 佐上理事長
  2. 「地方での不妊手術 当院 の取り組み」いながき動物病稲垣将治
  3. ねこけん代表 溝上奈緒子

< ディスカッション >

 佐上邦久氏 どうぶつ基金理事長
 稲垣将治氏 いながき動物病院長
 溝上奈緒子氏 ねこけん代表
 石森信雄 地域猫活動アドバイザー、現練馬区職員

中身の濃いとても勉強になる内容でした。そして私としては新しい初めて知る情報もあり、無料のわりには得るものの大きい大満足のシンポジウムとなりました。

私は地域猫活動をしたいので、どうしたらスムーズに地域猫活動ができるか、それとTNR活動では必ず動物病院がポイントになります。それらを中心に忘備録的に書きます。

★石森信雄氏は現在練馬区職員で環境衛生とは違う部署に異動となっていますが、ボランティアで地域猫活動アドバイザーとして日本全国講演をしているそうです。当時年間400件の猫の苦情があり、担当職員ふたりだったそうで、職員はうつ病にまでなったとか。どうにかしろと上司の命令で、先行で成功していた新宿区の高木さんをたずねたそうです。なので、高木さんは師匠だと言っていました。

石森氏の功績は、地域猫活動のための登録ボランティア制度を作ったこと。苦情をいう区民もいたが、猫を心配する区民もたくさんいたということで、その人たちに登録してもらいリーダーになってもらい地域猫活動を展開してもらったそうです。その時、自由にやらせたそうです。環境省のいう「住民の合意」なんて絶対に得られないと思っていたので、地域猫活動をしている人たちに腕章を与え、市からお墨付きをもらった活動であるからと合意形成などしなかったそうです。行政がボランティアにお墨付きを与えることで、ボラと行政の協働となるとのこと。例えば、ボラが活動したいエリアの自治会長さんに行政から話を通し、橋渡し役をし、その後ボラさんは自由に活動してもらう形とのことでした。

現在、練馬区の地域猫の登録団体数は66、構成員数は206人、年々増加中とのこと。助成金使用で年間3000匹、それ以外もあるとのこと。保護譲渡の数も数千匹。

これはねりまねこさんのブログに書いてあったことですが、登録ボランティアの活動の手引きに他の方のやり方を批判しないよう厳に戒めているのだそう。そして、自分の家の周り20匹位をおもりしているので、エリアが重なりあうこともないし、もちろんいがみ合いや足の引っ張り合いは聞かないそうです。

★いながき動物院長の稲垣氏は、TNRのN専門の獣医師です。稲垣氏いわく、不妊去勢手術は電気、水、屋根があればできるとのことでした。動物病院に勤める傍ら、副業で150万円でのら猫の不妊去勢手術専門の病院を越谷市に作り、2014年から2019年の5年で4軒の分院を開業しています。(土浦、いわき、鹿島、匝瑳そうさ)通常の動物病院開業には2,000万円位は必要なのだそうです。

動物愛護にとても熱心なタイプではないが、人の役にたつのは好きとのことで、ビジネスで考えていますと割り切っていました。不妊手術の価格を下げ、地元のボランティアさんに準備の手伝いをしてもらい、定期手術で地域に根付いた活動をしたいそうです。

実際、多頭飼育崩壊の手術は、衛生上よくない環境が多く1回で終わらせたい故、手術用トレーラーを入手して現地に赴て手術しているそうです。トレーラー内であれば衛生環境が保てるし、小型なので狭いところでも入っていけるそうです。

獣医師の育成にも熱心で、手術を簡素化し、臨床経験ゼロでも手取り足取り教えてくれるそうです。そして、TNRの不妊去勢手術専門病院として開業した先生も何人かいるようです。

今後はTNRを加速させるために、1)獣医師の育成、2)高齢者などの情報難民でも公共施設で手術を行えば猫を連れてこられるようにする、3)15匹以下でもトレーラーで小規模出張手術をする、4)里親募集の保護猫カフェの運営、譲渡会場として提供し、手術室も併設するとのことでした。

犬猫の繁殖の問題が山積みでより多くの獣医師の参加が必要で、市民、行政、獣医師の連携が必要だとまとめておりました。

★佐上氏はどうぶつ基金のトップです。地域猫はハードルが高いから、TNR先行型地域猫活動をしましょうと話していました。三重県モデルという話をしていました。三重県の公務員獣医に手術方法を教えて、のら猫の不妊去勢手術の活動を自走してもらうとのことで、三重県の獣医師会にも喜んでもらったと言っておりました。

どうぶつ基金は、多頭飼育崩壊にもチケットを出しています。HPを見るとリポートが出ているので参考にみてみてください。この話の中で、多頭の救済はとても危険が多すぎるということでした。ボラは猫は専門でも人間は専門でないこと、行政抜きでは解決しない問題も裏にあるということ、なので、ケースワーカー、医師、地域包括支援センター、保健所、生活保護担当などの専門家集団との協働が不可欠であると話していました。

★ねこけん代表の溝上氏はねこけん動物病院を運営しています。ここは貧困層をターゲットにのら、飼い猫どちらも手術は0円~3000円で行っています。東京獣医師会には挨拶に行き、ビジネスの邪魔はしないと言ってきたそうです。

以上、かいつまんでのリポートになりました。みなさんの活動のお役に立てればと思います。